日本における鍼灸の歴史 -室町から江戸期にかけての受容と発展について - 順天堂大学医学部大学院医学研究科医史学研究室 東邦大学医療センター 大森病院 東洋医学科 筑波技術大学保健科学部保健学科 吉 田 和 裕 要 旨 鍼灸を正しく理解するためには、起源と発展経過を知識として理解しておくことは最低限必要である。鍼灸の起源は、周知の通り中国大陸であることは言及するまでもないが、紀元 3 世紀以降に大陸より導入されてから、現代に至るまで日本人の健康を支え続けいる日本の伝統医学(=東洋医学)となっている。医学文化である鍼灸を歴史的観点から捉えて見てみると、尐なくとも 3 世紀以降、朝鮮半島を介して中国から伝わり、 7 世紀には大陸と直接交流が行われようになり、中国との医学文化的交流により日本に移入されるようになった。その後、唐の医事制度が施行され、医事行政と医学教育が日本でも行われた。 更に..